2024年07月20日
財産分与(民法768条)の相続について
1 離婚する場合、夫婦は共有財産を分与することができます。これを財産分与請求権と言います。この財産分与請求権は相続できるのでしょうか。
2 まず、夫婦が離婚した後、財産分与の意思表示や財産分与調停が継続していた間に一方当事者が死亡した場合は、その財産分与請求権は相続されます(名古屋高等裁判所昭和27年7月3日決定)。その理由は「法が財産分与の制度を設けたのは単に配偶者の扶養の手段を与えようとする理由だけからではなく配偶者に相続権を認めたのに対応し離婚の当事者間の公平なる財産分配の意図も亦之を包蔵するものなることは民法第七百六十八条第三項が当事者双方が其の協力によつて得た財産の額を考慮すべき一切の事情の一として之を掲げているに徴しても明かであつて仮令未だ具体的な債権取得に至らずとするも既に分与請求の意思が表示された後の財産分与請求権は調停又は協議の成立若くは協議に代る裁判所の処分を経て一定の金銭又は財物の給付請求権の取得に至るべきものであるから其の性質は普通の財産権と化しているのであつて一般の金銭債権と同様相続され得べき権利であると解するのを相当とする。」からです。
3 他方で、離婚調停中であり離婚が成立しない間に一方当事者が死亡した場合は、財産分与請求権は相続人に相続されません(東京高等裁判所平成16年6月14日決定)。その理由は、離婚調停中に当事者の一方が死亡した場合には離婚が成立する余地がないことから財産分与請求権も発生しないからです。