2024年06月20日
下請中小企業振興法を知っていますか?
下請中小企業振興法を知っていますか?
中小企業庁の下請中小企業振興法の概要は次の通りです(中小企業庁ホームページ参照)。
「下請中小企業振興法(以下「下請振興法」という。)の目的は、親事業者の協力のもとに、下請中小企業の体質を強化し、下請性を脱した独立性のある企業への成長を促すことにあり、次の5つの柱からなっている。
第1は、下請中小企業の振興のための下請事業者、親事業者のよるべき振興基準の策定とそれに定める事項についての指導及び助言である。
第2は、下請事業者等がその親事業者の協力を得ながら作成し、推進する振興事業計画制度である。この制度に基づく計画が適当である旨の承認を受けた場合は、金融上の支援措置等が講じられている。
第3は、2以上の特定下請事業者が、有機的に連携し、新製品の開発や新たな生産方式の導入等の新事業活動を行うことにより、既存の親事業者以外の者との取引を開始・拡大することで、特定の親事業者への依存の状態の改善を図る特定下請連携事業計画制度である。この制度に基づく計画が適当である旨の認定を受けたものについて、金融上の支援措置等が講じられている。
第4は、下請中小企業の取引機会を創出する事業者(自らが親事業者等から一括して発注を受けた上で、提携する下請中小企業の中から、発注内容に最適な企業を選定し再発注する事業を行う者)であって、一定の基準を満たす場合には認定を受けることができる制度である。認定を受けた事業者のうち中小企業者である場合には、その事業の遂行に必要な金融上の支援措置等が講じられている。
第5は、下請中小企業と親事業者との取引円滑化のための下請企業振興協会の充実・強化である。下請企業振興協会の主な業務は次のとおりである。
• 下請取引のあっせんを行うこと。
• 下請取引に関する苦情又は紛争について相談に応じ、その解決についてあっせん又は調停を行うこと。
• 下請中小企業の振興のために必要な調査又は情報の収集若しくは提供を行うこと。」
以上の内容から下請中小企業振興法は下請法と密接に関連しています。
下請中小企業振興法3条1項は下請中小企業の振興を図るため、下請事業者及び親事業者のよるべき一般的な基準(振興基準)を定めています。
そして、中小企業者庁によると「足元の物価高の中、我が国の雇用の7割を支える中小企業が実質賃金の引上げを実現するためには、賃上げの原資を確保する価格転嫁が極めて重要となっています。中でも、価格転嫁率が低い労務費の上昇分を適切に転嫁できる環境を作ることが重要との背景から、内閣官房及び公正取引委員会において、『労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針』(令和5年11月29日)が取りまとめられました。下請取引の価格交渉・価格転嫁の現場において本指針の活用を促進し、労務費の価格転嫁を推進するため、このたび振興基準を改正いたしました。」とあり、振興基準が下請法の一つの重要な基準になっています。そのため、下請法違反を検討する際は振興基準も注意する必要があります。