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2024年06月19日

スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律とは?

スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律が令和6年6月12日成立しています。施行日は公布から1年6ヵ月以内です。
法律の趣旨は「⃝ スマートフォンが急速に普及し、国民生活及び経済活動の基盤となる中で、スマートフォンの利用に特に必要な特定ソフトウェア(モバイルOS、アプリストア、ブラウザ、検索エンジン。これらを総称して「特定ソフトウェア」という。)の提供等を行う事業者は、特定少数の有力な事業者による寡占状態である。
⃝ 特定ソフトウェアに係る市場においては、当該事業者の競争制限的な行為によって、公正かつ自由な競争が妨げられている。一方、これらの市場については、新規参入等の市場機能による自発的是正が困難であり、また、独占禁止法による個別事案に即した対応では立証活動に著しく長い時間を要するとの課題があることから、公正かつ自由な競争を回復することが困難である。
⃝ こうした状況を踏まえ、スマートフォンの特定ソフトウェアについて、セキュリティの確保等を図りつつ、競争を通じて、多様な主体によるイノベーションが活性化し、消費者がそれによって生まれる多様なサービスを選択できその恩恵を享受できるよう、競争環境を整備する必要がある。」(公正取引委員会別紙2法率概要引用)です。アップルなどが課金システムを独占することで新規参入をコントロールしていた問題に切り込む法律ですね。ゲームソフトを開発した零細企業がプラットフォームを利用しながら自身の課金システムを使用し収益力を上げることができる法律です。スマホのゲーム市場が活性化すると私達も楽しむことができます。下町ロケットスマホ版の小説が誕生しそうですね。
政府は特定市場に対して独占禁止法の「使い勝手の悪さ(自覚しているのであれば本体を改正すれば・・・(^_^;)もし改正するなら損害の推定規定は入れて欲しい。意見募集の時は損害推定規定の改正の意見を研究者の先生訴えてください。)」から重大な特別法を立て続けに立法しています。それを受けて公正取引委員会も活発に活動しているかと思います。1は下請法のガイドラインの改正により下請事業者の保護の強化、2はフリーランス新法によるフリーランスの保護、3はスマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律(スマホ法?)で、ITなどのエンジニアなどを保護し、市場を活性化する方向を打ち出していると私は思います。この3つの法律を組み合わせますと十分個人でソフトウェアを開発した者がその評価に値する対価を受け取ることができるようになるかと思います。私もしっかりと勉強して競争政策による法律改正を実務に落とし込めるように頑張ります。競争法は世界の動向と密接に関連しています(同別紙2参照)ので面白いです。