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2019年04月25日

~独占禁止法~デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備~

問)経済産業省、公正取引委員会及び総務省は、平成30年6月に閣議決定された「未来投資戦略2018」において、プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備を検討していましたが、この度、規制強化策を提言したと2019年4月25日付けの新聞にありました。そもそも、どのような問題点があるのですか。
答)デジタル・プラットフォーマーは、オンライン・ショッピング・検索サービス・SNS等、様々なサービスが存在します。そして、デジタル・プラットフォーマーは、事業者の市場へのアクセスを高め、消費者の便益も向上させる利便性があります。
 他方で、デジタル・プラットフォーマーは、ネットワーク効果や従来の広告などに比較して安いこと、規模が大きいことから、独占化・寡占化が進みやすい特性があるとされています。
 そのため、現在、そのデジタル・プラットフォーマーを利用している事業者に対して、デジタル・プラットフォーマーが、不透明な利用規約や一方的に利用規約を事業者に不利に変更しても、その利便性などから従わざるを得ない状況が生じています。
 この点、従来は、デジタル・プラットフォーマーは、単なる場の提供者(媒介者)であることから、積極的な責任は負わないと考えられていました。そのため、法規制の対象になりにくかったので、泣き寝入りする事業者が多かったといえます。
 しかしながら、この度の提言により、優越的地位の濫用を規制する独占禁止法を中心に、新たな法規制の策定の方向性を提言しました。
 今後、デジタル・プラットフォーマーが、事業者に不利に一方的に規約の変更などをした場合は、独占禁止法の適用が柔軟にされる可能性が出てきた点において、デジタル・プラットフォーマーを利用している事業者にとって非常に重要な提言になります。
 将来、独占禁止法に加えて、新たな法規制がされる可能性がありますので、注意が必要です。