岡山弁護士会所属
岡山富田町のかかりつけ法律事務所
肥田弘昭法律事務所

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2018年10月24日

債権回収(事例検討)ご参考にしてください。

当社の取引先のA社が、先月末の500万円の支払をしてくれません。当社とA社は、信用取引なので、契約書も作成していません。私が調べたところ、A社は、B社に500万円の債権を有しているようで、今月末にA社に支払いがされるようです。
  □この場合、弁護士に相談すべきか?
  □弁護士に相談するとどのような対応をするとアドバイスされると思いますか?
  □民事保全・・・第三債務者に対する債権仮差押え
   →最大の問題点は何か?
   「債権の特定」←契約書を作成していないから。
    仮差押えは、債権者の将来の金銭債権の実現(強制執行)を確保(保全)するために、債務者の責任財産の現状を維持する手続です。この仮差押えをするためには、裁判所に請求債権目録を提出する必要があります。請求債権目録には、被保全権利となる請求債権(金銭債権)の記載を要します。そして、この記載は、二重申立て及び本案訴訟との同一性(仮差押えの効力の及ぶ範囲)の有無を判断するために必要であること、仮差押執行の限度を明らかにすること、仮差押金額を決定するために必要であること等、仮差押えの手続の重要な部分を占める問題であり、請求債権の特定が不十分であれば、仮差押命令が無効と判断される場合もあります。民事保全は、疎明で足りるとされて、簡易性・迅速性が特徴です。しかし、請求債権の特定について、契約書等明確な疎明資料がない場合は、御社とA社の債権関係についての陳述書などを作成し、請求債権を特定して、申立をする必要があります。しかも、裁判所から、領収書等の補充の疎明資料などを要求されることも多々あります。すなわち、それだけ、契約書がある場合と異なり、準備に時間がかかり仮差押えが遅れることになります。第三債務者の債権仮差押えは、第三債務者に裁判所から、債務者に弁済禁止の命令を発してされる手続であり、その命令書の到達までに支払期限が経過してしまうと仮差押えは失敗してしまいます。請求債権の特定は、債権の種類(発生原因事実の法的性質を記載して明らかにします)、債権の内容(債権の発生時期・原因・弁済期・条件の内容等で明らかにします)であきらかにしますから、常日頃、迅速な仮差押えのため、債権の種類・債権の内容を明らかにした契約書等の作成を心掛けてください。
  □民事裁判→契約書など証拠がしっかりとあれば、ない場合と比較して、早く終わりますし、敗訴リスクを低減できます。
  □民事執行→民事裁判で権利を認められた範囲で、仮差押えした債権500万円を第三債務者に対する債権差押え手続きをして、500万円を回収します。