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2019年02月02日

相続~特別の寄与~

問)私は、長年、無償で、夫の母を介護してきました。そのため、夫の母は、施設に入らず、自宅で療養することができました。前月、夫の母が亡くなりました。夫の兄弟は、何も夫の母の面倒をみてこなかったのに、相続分に応じた遺産分割を求めています。この場合、私自身に夫の母の相続人に対して、何らかの権利はありませんか。

答)あなたは、長年、無償で被相続人である夫の母の介護をしてきたことにより、その相続人に対して、寄与に応じた額の金銭(特別寄与料)の支払を請求できます(民法1050条)。
1 特別の寄与
 民法1050条1項は、①被相続人に対して無償で療養看護その他の労務を提供したことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした②被相続人の親族(特別寄与者:但し、相続人、相続放棄者、891条該当者又は排除によってその相続権を失った者を除く)に③相続の開始後において、④相続人に対して、⑤特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(特別寄与料)の支払を請求できると規定しました。
 これは、相続人以外の者が被相続人の療養看護をした者が被相続人と近い関係にある場合、有償契約の締結などの生前の対応が類型的に困難であることから、そのような貢献をした者を救済するためです。
2 権利行使のための手続
(1) 協議または処分の請求
まずは、当事者間での協議です。しかし、これが整わない場合は、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求できます(民法1050条2項)。
  家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他の一切の事情を考慮して特別寄与料を定めます(民法1050条2項但書)。
(2) 権利行使期間の制限
  特別寄与者が、相続の開始及び相続人を知った時から6か月、又は相続開始の時から1年を経過した時は、権利行使ができませんので、注意が必要です。この期間は除斥期間です。
(3) 管轄
  相続開始した地を管轄する家庭裁判所です(家事手続法216条の2)。
3 特別寄与料の上限
  被相続人の相続開始時に有していた財産の価額-遺贈の価額=残額が上限となります(民法1050条4項)。
4 特別寄与料を負担する者
  各相続人は、その法定相続分又は指定相続分に応じて負担します(民法1050条5項)。
5 施行日
  2019年7月1日です。