2019年01月19日
債権法改正~定型約款とは?~
(問)定型約款(改正民法548条の2第1項)とは?
(答)定型約款とは、定型取引において、契約内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体を言います。
そして、定型取引とは、ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものを言います。
(問)定型約款はどのような場合に契約内容になりますか(改正民法548条の2第1項)?
(答)①定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき
又は
②定型約款準備者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示したとき
を前提として、当事者間で、定型取引合意がなされた場合、定型約款の個別条項が契約の内容となります。
(問)定型約款の開示を求めることはできますか(改正民法548条の3)?
(答)できます。
定型約款準備者は、定型取引合意の前、又は、定型取引合意の後相当の期間内に、相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法で当該定型約款の内容を示さなければならないとされています。但し、書面交付やウェブでの開示などをしたときを除きます。
正当な事由がある場合を除いて、定款約款準備者が定型取引合意前において定型約款の内容の開示の請求を拒否したときは、定型約款の合意の適用がありません。
(問)定型約款準備者に一方的に有利な契約条項や相手方が予測できないような契約条項も契約の内容になりますか(改正民法548条の2第2項)?
(答)みなし合意除外規定があります。
①相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であること
②当該定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして民法1条2項に規定する基本原則(信義則)に反して相手方の利益を一方的に害すると認められること
の要件を満たす、契約約款条項は、契約内容とならず、法的効力は否定されます。
(問)定型約款はどのような場合は定型約款準備者が一方的に有効に変更できますか(改正民法548条の4)?
(答)次の要件を満たした場合は、相手方の個別合意なく、定型約款を変更
することによって契約内容を変更できます。
①約款変更が、次の(ア)(イ)のいずれかに該当するとき
(ア)相手方の一般の利益に適合するとき
(イ)契約をした目的に反せず、変更の必要性、変更後の内容の相当性、変更条項の有無・内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき
②効力発生時期を定め、約款契約する旨・変更後の約款内容・当該発せ時期を、インターネットの利用など適切な方法で周知しなければならない。
③ただし、①(イ)の規定による約款変更をするときは、効力発生時期の到来までに上記周知をしなければ約款変更の効力が生じない。
(問)定型約款の規定は、2020年4月1日に施行されますが、それ以前に締結した定型約款について、改正民法548条の4の適用がありますか。
(答)経過措置があります。
改正民法附則33条1項本文は、改正民法の施行日前に締結された定型取引に係る契約についても改正民法548条の4の規定が適用されます。但し、改正民法附則33条2項・3項は、同条1項の規定は契約の一方当事者が施行日までに反対の意思を書面で表示した場合(電磁的記録によってされた場合を含む)には適用しないとされています。