2019年01月13日
相続~配偶者短期居住権とは?その概要~
問)現在、私の夫は、単身赴任をしています。私は、妻として夫名義の家に無償で住んでいます。夫には前妻の子がおり、かなり昔に、夫名義の家を相続させる遺言を書いたと言っていました。仮に、夫が、急に亡くなった場合、私は、前妻の子から、直ちに、今の家から追い出されるのでしょうか。私の夫は、現在、元気ですが、不安です。相続法が改正されて、妻に遺言などがなくても、一定の期間、居住できる権利ができたと聞きました。その概要を教えて下さい。
答) 配偶者短期居住権(民法1037条)です。
1 意義
配偶者短期居住権とは、被相続人が所有する建物に配偶者が無償で居住している状態で、被相続人が死亡した場合に、遺産分割成立時まで等の期間中、最低でも6ヶ月間は、配偶者が従前の居住を無償で続けることができる制度です。
この権利は、被相続人の意思表示などは必要なく、配偶者相互の同居・協力・扶助義務(民法752条)の観点から、強行法規性があると言われています。
2 成立要件
(1) 要件
配偶者が、被相続人の財産に属した建物
に、相続開始時に無償で居住していたこと
このため、被相続人と同居していたかどうかは要件となりません。
(2) 発生障害事由
①民法891条(相続人の欠格事由)に該当したこと
又は
②配偶者が、相続開始時、配偶者居住権(民法1028条)を取得したこと
3 存続期間
(1) 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合
遺産分割により居住建物の帰属が確定した 日
又は
相続開始時から6ヶ月を経過する日
のいずれか遅い日
(2)(1)以外の場合
居住建物取得者が、配偶者短期居住権の消滅の申し入れをした日から6ヶ月経過する日
4 施行期日
配偶者短期居住権の施行日は、2020年4月1日です。
5 経過措置
配偶者短期居住権は、2020年4月1日以後に開始された相続から適用されます。