岡山弁護士会所属
岡山富田町のかかりつけ法律事務所
肥田弘昭法律事務所

お知らせ

一覧に戻る

2018年12月30日

民法改正~請負会社の責任~

問い)私は、建築会社とマンションを建築する工事請負契約を締結しました。私は、多数の人が住むため、地震に備える必要があることから、耐震性を高めるため、マンションの支柱については300mm×300mmのより太い鉄骨を使用することを請負契約の内容にしました。しかし、建築会社は、契約の約定に反して、250mm×250mmの細い鉄骨を使用してマンションを施工しました。私は、マンションの引渡しを受けた後に、建築会社の約定違反を知りました。私は、建築会社にどのような責任を追及できますか。なお、居住性については問題が生じていません。
答え) 
第1 現行民法での規律
1 あなたは建築会社に「瑕疵」(現行民法634条1項)に該当するとして、瑕疵の修補請求することができます。但し、その瑕疵の修補に過分の費用がかかる場合は、損害賠償請求(代金相当分の減額)することができます(現行民法634条1項)。
2 この点、居住性に問題が生じなければ「瑕疵」に該当しないとの考え方もあります。しかし、同種事案で、判例は、「瑕疵」に該当する(最高裁平成15年10月10日第二小法廷判決)として、契約目的物もつ通常の効用の点では何ら問題とならない場合にも、合意の内容と不一致があれば瑕疵にあたるとしました。
3 但し、後述の通り、請負契約の担保責任も契約責任として整理されましたので、この点に解釈の問題は立法により解消した点に留意が必要です。
第2 民法改正施行後の規律(2020年4月1日)について(以下単に「民法」とする場合は、改正後の条文です)
1 建築会社は、あなたに対して、マンションの「品質」に関して「契約に適合しない」ことは明らかですので、あなたは、建築会社に履行の追完を請求できます(民法562条1項本文)。
2 ただ、今回の場合は、マンションの支柱ですので、建築会社が履行の追完をする場合は、マンションを建て直す必要があり「不相当な負担」(民法562条1項但し書き)を主張することが考えられます。この場合、耐震性について、建築会社から、不相当な負担でない方法での履行の追完の主張が考えられます(民法562条1項但し書き)。
3 次に、建築会社が履行の追完に着手しない場合は、催告をすることで「不適合の程度」に応じてあなたとしては建築会社に代金減額請求することができます(民法563条1項・2項1号)。
4 なお、建築会社が、あなたの履行の追完について、明確に拒絶した場合等については、あなたは建築会社に損害賠償請求ができます(民法415条2項2号)。