2018年12月23日
独占禁止法~融資を受ける条件に金融商品の購入強制されたケース~
問い)私は、地方で小さな会社を経営しています。私の会社の融資先である銀行は、地方において有力であり、他に融資を頼める銀行はありません。銀行から融資がないと、資金繰りが悪化して、倒産する可能性もあります。その中で、銀行は、融資の条件として、金融商品の購入を強制します。仮に金融商品を購入しないと、明示的に、不利な取扱いをする等融資を受ける条件に不利益を課すことを言ってきます。私どもの会社以外にも同じ事をしているようです。この銀行の対応は独占禁止法に違反しないでしょうか。
答え)優越的地位の濫用(独占禁止法2条9項5号)に該当し独占禁止法19条に違反します。
あなたの会社は、銀行から借り入れができないと直ちに他の金融機関からの借り入れが困難な状況にあります。とすれば、融資継続する上で銀行からの要請に従わざるを得ない立場にあり、その取引上の地位は銀行に劣っています。そして、銀行は、融資をする条件として、融資に関係のない金融商品を購入しなければ不利益な扱いをすることを明示するため、その結果、あなたの会社は、金融商品を購入せざるを得ず、融資に係る支払金利以外の金銭的負担を強いられています。この銀行の行為は、自己の取引上の地位があなたの会社に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、あなたの会社に対し、融資にかかる商品または役務以外の金融商品を購入させていますので、優越的地位の濫用に該当し、独占禁止法19条に違反します。また、あなたの会社以外にも上記の行為を銀行がしていることから、行為の広がりもあり、公正取引委員会が銀行に対して事実の報告などを(同法45条)をすることが考えられます。
本件と同種事案として、公正取引委員会平成17年12月26日勧告審決が参考になります。