2018年12月09日
独占禁止法の適用対象事業者~独占禁止法2条1項の事業者の意義~
問い)国や地方公共団体は、学校や病院などの事業を営む場合などがありますが、このような公営事業に独占禁止法が適用される場合がありますか。
答え)独占禁止法の適用除外が無い限り、「事業者」(独占禁止法2条1項)に該当すれば、独占禁止法の適用があります。
独占禁止法2条1項の事業者は、商業、工業、金融業その他の事業を行う者をいうと規定しおり、この事業はなんらかの経済的利益の供給に対応し反対給付を反覆継続して受ける経済活動をさし、その主体の法的性格を問うところではないから、地方公共団体も、同法の適用除外規定がない以上、かかる経済活動の主体たる関係において事業者に当たると解すべきである(最高裁平成元年12月14日第一小法廷判決)として、地方公共団体についても、「なんらかの経済的利益の供給に対応し反対給付を反覆継続して受ける経済活動」をしておれば、「事業者」に該当するとしているからです。
国のお年玉付郵便葉書等の発行および販売についても、独占禁止法の適用は認められており(最判平成10・12・18)確立した判例と言えるでしょう。従って、公営事業であることを理由として、一律に独占禁止法の適用を免れることはなく、独占禁止法の適用を前提として、公益性などについて正当な理由の有無などが、事案との関係で個別具体的に争われることになります。