2018年11月18日
離婚~財産分与・婚姻前の預貯金が特有財産として認められるか~
(問)私と夫は、10年以上婚姻生活をしていました。しかし、この度、離婚することになりました。結婚前、夫の預貯金は1000万円ありました。結婚後、私は専業主婦となり、夫の預貯金に夫の給与が振り込まれますので、家族の生活費はそこから出捐していました。現在、その預貯金には1000万円の残額があります。夫は、財産分与にあたり、預貯金の残額1000万円は、結婚前の1000万円であり、特有財産であるから、財産分与の対象とならないと主張しています。このような夫の主張が認められますか。
結論)夫の主張は認められない可能性が高いです。
理由)本件では、10年間の同居期間中に渾然一体となって生活費などに充てられ同居期間中の収入により補填されていた場合です。このような場合、婚姻時の預貯金が基準時の預貯金と分離して考えるのが困難な場合が多いことから、婚姻前の預貯金を特有財産として考慮しない判断になる場合が多いです。裁判例も、夫婦の同居期間が7年間のケースで、特有財産を否定した例もあります。