2018年11月13日
売主が宅建業者であった場合に仲介業者のみならず売主の告知義務違反(説明義務違反)を認めた事例
私は、延100㎡の工房兼住宅を建築する目的で土地を買いました。仲介業者にも、その旨を十分に説明しました。仲介業者は、私に重要事項説明をした際、土地上の制限が「建ペイ率80%、容積率300%、第2種高度地区」の説明までしましたが、制限内容の具体的な説明及び資料はありませんでした。この時、売主の立ち会いはありませんでした。私は、仲介業者の説明を聞いて、2000万円でその土地を買いました。しかし、後日、その土地に第2種高度地区の斜傾制限により延100㎡の建物が建たないことが判明しました。そのため、私は、その土地を1800万円で売却しました。なお、売主も宅建業者でした。この場合は、私は、仲介業者及び売主にも告知義務違反を理由に損害賠償請求できますか(参考裁判例 東京地裁21・4・13)
回答)売主及び仲介業者に対して告知義務違反として損害賠償請求ができる可能性があります。この場合、売主と仲介業者は、不真正連帯債務となります。
1 仲介業者の告知義務違反(説明義務違反)
買主の上記目的を聞いていた等の状況下では、仲介業者は、単に存在する法的規制の種類・名称等を告げるだけではなく、本物件における法的規制の具体的内容の説明を通して、買主が目的とする建物が建築できるかどうかについても説明する義務があるとして、告知義務違反(説明義務違反)を肯定した。
2 売主の告知義務違反(説明義務違反)
宅建業者が宅地建物売買の売主となる場合、宅建業者が媒介した場合でも、買主に対して宅建業法35条1項各号に規定された重要事項について説明する義務を負うとして、売主の告知義務違反(説明義務違反)を肯定した。