2018年11月04日
離婚に伴う財産分与の基本的な考え方
問)私は、現在、夫と別居し、離婚調停を申立てようとしています。離婚調停申立てとともに財産分与の申し立てをしようと思いますが、そもそも、財産分与とは何ですか。財産分与の基本を教えて下さい。
(答)まず、財産分与とは、離婚した夫婦の一方が、他方に対して、財産の分与を求めるものです(民法768条1項)。
財産分与には、①精算的財産分与②扶養的財産分与③慰謝料的財産分与との性質を有します。その中で、財産分与の基本となる性質は、①精算的財産分与です。そこで、今回は、精算的財産分与の基本的考え方を説明します。
精算的財産分与の基本的考えは、婚姻後に形成した財産について、双方の財産形成の寄与度を考慮し、実質的に公平になるように分配することです。
この場合の分与割合は、原則2分の1です。但し、財産形成について配偶者の一方の寄与が大きい場合、夫婦間の所得差が大きい場合は、分与割合が修正されることもあります。
そして、この分与割合の算定式は、財産分与額={(権利者名義資産+義務者名義資産)-(権利者名義負債+義務者名義負債)}÷2-(権利者名義資産-権利者名義負債)です。
ただ、裁判例では、債務超過の場合に精算的財産分与はできない(東京高決平10・3・13)とされています。
但し、別途、扶養的財産分与や慰謝料的財産分与は問題となり得えます。
そして、精算的財産分与の対象となる財産は、婚姻中に夫婦の協力によって得た財産である(民法768条3項)ことから、特有財産は除外されます。但し、特有財産は除外されるものの、共有財産の推定規定(民法762条2項)があるため、特有財産の立証責任は、主張者が負うことになります。
次に、精算的財産分与の対象は、①婚姻期間中(別居前)で②夫婦が協働して形成した財産です。原則は別居時を基準とします。なぜなら、別居後は、通常、夫婦関係が破綻し、協力して財産形成をすることができなくなっているからです。
ポイントは、夫婦関係が破綻し、協力して財産形成をすることができなくなっているかどうかです。
例えば、同居している場合であっても、家庭内別居の状況にある時は、夫婦関係が破綻し、協力して財産形成をすることができなくなっているので、別居前であっても、家庭内別居が始まった時点を基準(① )として、②の財産の対象となるかどうかを判断します。