2026年03月07日
支払用カード電磁的記録に関する罪とは?
1(支払用カード電磁的記録不正作出等)
第163条の2 人の財産上の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する電磁的記録であって、クレジットカードその他の代金又は料金の支払用のカードを構成するものを不正に作った者は、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。預貯金の引出用のカードを構成する電磁的記録を不正に作った者も、同様とする。
2項 不正に作られた前項の電磁的記録を、同項の目的で、人の財産上の事務処理の用に供した者も、同項と同様とする。
3項 不正に作られた第1項の電磁的記録をその構成部分とするカードを、同項の目的で、譲り渡し、貸し渡し、又は輸入した者も、同項と同様とする。
(1) 人の財産上の事務処理を誤らせる目的とは、「財産上、身分上その他の人の生活関係に影響を及ぼし得ると認められる事柄の処理を誤らせる目的」(刑法161条の2)のうち非財産的なもののみを誤らせる目的である場合を除く趣旨である。
(2) その事務処理のように用に供する電磁的記録とは、財産上の事務処理のため、これに使用される電子計算機において用い得るものであること電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう(刑法7条の2)。
(3) クレジットカードその他の代金又は料金の支払用のカードとは、商品の購入、役務の提供等の取引の対価を現金で支払うことに代えて、所定の支払システムにより支払うために用いるカードである。
(4) 構成するものとは、カードの構成要素となっている電磁的記録、すなわち、カード板と一体となった状態の電磁的記録のことである。
(5) 不正に作るとは、権限なく又は権限を濫用して電磁的記録を作るである。
(6) 預貯金の引出用カードは、郵便局、銀行等の金融機関が発行する預金又は貯金に係るキャッシュカードである。
(7) 用に供するとは不正に作出されたカードを構成する電磁的記録を他人の財産上の事務処理のため、これに使用される電子計算機において用い得る状態に置くことである。
2(不正電磁的記録カード所持)
第163条の3 前条第1項の目的で、同条第3項のカードを所持した者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(1)所持とは保管についての事実上の実力的支配関係を有していることである。
3(支払用カード電磁的記録不正作出準備)
第163条の4 第163条の2第1項の犯罪行為の用に供する目的で、同項の電磁的記録の情報を取得した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。情を知って、その情報を提供した者も、同様とする。
2項 不正に取得された第163条の2第1項の電磁的記録の情報を、前項の目的で保管した者も、同項と同様とする。
3項 第1項の目的で、器械又は原料を準備した者も、同項と同様とする。
(1) 目的とは、不正作出行為に用いられることを認識していることを要する。
(2) 電磁的記録の情報とは、支払用(預貯金引用)カードによって行われる支払決済システムによる情報処理の対象となるひとまとまりの情報のことである。
(3) 取得とは支払用(預貯金引出用)カードを構成する電磁的記録の情報を自己の支配下に移す一切の行為である。
(4) 情を知ってとは、163条の2第1項に規定する不正作出罪の用に供されることの認識を有していることである。
(5) 提供は、カードを構成する電磁的記録の情報を事実上相手方が利用できる状態に置くことである。
(6) 保管とは、有体物の所持に相当する行為であり、電磁的記録の情報を自己の管理、実力的支配内に置くことである。
(7) 器械又は原料
ア 器械とは、支払用(預貯金引出用)カードを構成する電磁的記録の不正作出の用に供するものとして客観的な可能性ある一切の器械であり、不正作出に直接必要なものに限られず、また、不正作出のためだけに用いられるものである必要はなく、同時に他の目的に利用できるものでもよい。
イ 原料とは、印磁前のいわゆる生カードそのもののほか、カード板作製のための接着材料等も含まれる。
(8) 準備とは、不正作出の用に供すべき器械、原料を買い入れ、製作するなど、これを利用してその目的を遂行し得べき状態に置く行為であって、不正作出の実行の嫡出に至らないものである。
(未遂罪)
第163条の5 第163条の2及び前条第1項の罪の未遂は、罰する。