2026年01月01日
令和6年5月24日改正法(以下「新民法」と言います)は、令和8年4月1日(施行日)前に生じた事項にも適用されるか。また、民事執行法167条17の規定の適用の経過措置はどのように規定されているか。
第1 民法関係
1 原則として附則に特別の定めがある場合を除き、この法律の施行前に生じた事項にも適用する(附則2条)ことから、令和8年4月1日(施行日)前に生じた事項にも適用される。
但し、同条の規定による改正前の民法(附則第6条において「旧民法」という。)の規定により生じた効力を妨げない(附則2条但書)から、旧民法の効力が維持される。
すなわち、施行日前に旧民法819条により父母の一方を親権者と定めた場合は、附則2条但書の適用により、効力が維持される(親権・養育費・親子交流等編著北村治樹・181頁参照)。
2 養育費に関する経過措置(附則3条)
(1) 先取特権(新民法306条3号及び同308条の2)
養育費等に係る定期金債権のうち改正法の施行日以後に生じた各期の定期金について適用される。施行前に養育費等の取決めがされた場合には、その施行日後の期間に対応する部分に限り、先取特権が付与される。
(2) 法定養育費
新民法766条の3の規定は、施行日前に離婚した場合、婚姻取り消しをした場合、認知した場合は、適用されない(附則3条2項)。
3 財産分与に関する経過措置(附則4条)
施行日前に離婚などをした場合における財産分与の請求期間の制限は、なお従前の例によることから、旧民法768条2項により、離婚の日から2年を経過したときは、離婚などの当事者は、家庭裁判所に対する財産分与の請求をすることができなくなる。
4 離婚原因に関する経過措置(附則5条)
(1) 離婚の訴えに係る事件であって、施行日前に、控訴審の口頭弁論が終結したもの又は第一審の判決に対して上告をする権利を留保して控訴をしない旨の合意をしたものについての離婚の訴えを提起することができる事由については、なお従前の例による(附則5条)。
(2) 旧民法770条1項4号は新民法で離婚原因から削除されることから、施行日前に4号の事由のみを離婚原因として離婚訴訟を提起していた場合には、改正後は、その訴えの変更の必要がある(附則2条)。しかし、控訴審の口頭弁論が終結したもの又は第一審の判決に対して上告をする権利を留保して控訴をしない旨の合意をした場合は、訴えの変更ができずに当事者に不測の損害を与えることから、従前に例に従って判断することにした。
5 親権者の変更に請求に関する経過措置(附則6条)
施行日前に旧民法819条6項(旧民法749条準用する場合を含む)の規定によりされた親権者の変更の請求(施行日前に当該請求に係る審判が確定したものを除く)は、施行日以後は、新民法819条6項(新民法749条準用する場合を含む)の規定によりされた親権者の変更の請求とみなすとされた。
第2 民事執行法関係
1 附則7条は「第2条の規定による改正後の民事執行法第167条の17(同法193条2項において準用する場合を含む。)の規定は、施行日以後に申し立てられる民事執行の事件について適用し、施行日前に申し立てられた民事執行の事件については、なお従前の例による。」と規定している。
2 すなわち、その手続きが施行日前であれば民事執行法167条の17の適用はない。施行日後であれば民事執行法167条の17の適用がある。この点は、新民法の原則である附則2条と異なる。
(注)令和8年1月1日時点