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2025年11月27日

配偶者間に子がいない場合で配偶者に両親が亡くなり兄弟姉妹がいる場合の居住用不動産は遺言か生前贈与を検討すべき!!!

1 問題点
配偶者間に子がいない場合に、居住用不動産の名義人が亡くなった場合、そのご両親がすでに亡くなっており、兄弟姉妹がいることを前提とすると、法定相続人は、配偶者と亡くなった配偶者の兄弟姉妹が相続することになります。その兄弟姉妹の相続分は4分の1です。そして、代襲相続が認められますので、亡くなった配偶者より前に亡くなった兄弟姉妹に子がいる場合は、その子も相続人になります。そのため、居住用不動産の登記を配偶者に移転しようとする場合は、相続人全員の遺産分割協議書が必要です。また、代償金をお支払いしないと遺産分割協議書が成立しないケースもあります。
2 そのため、居住用不動産については、遺言書で、配偶者に相続させるようにすれば上記の紛争を解決できます。兄弟姉妹は遺留分がありませんので全部配偶者に相続させても問題はありません。
3 また、生前贈与も考えられますが、贈与税がかかります。但し、下記のとおり一定の要件のもと、2000万円までは非課税とされる特例がありますので、ご参考にしてください。
[令和7年4月1日現在法令等](国税庁ホームページより引用)
①婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、贈与税の申告をすることにより基礎控除額110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例
(1) 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと。
(2) 配偶者から贈与された財産が、 居住用不動産であることまたは居住用不動産を取得するための金銭であること。
(3) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産または贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること。
(注1) 「居住用不動産」とは、専ら居住の用に供する土地もしくは土地の上に存する権利または家屋で国内にあるものをいいます。
(注2) 配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。
②申し込み先
所轄税務署
③申告の方法
(1) 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の謄本または抄本
(2) 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し
(3) 居住用不動産の登記事項証明書その他の書類で贈与を受けた人がその居住用不動産を取得したことを証するもの
なお、金銭ではなく居住用不動産の贈与を受けた場合は、上記の書類のほかに、その居住用不動産を評価した評価明細書などの書類の提出
4 遺言書の作成をお勧めします!
  贈与税の特例もありますが、相続税は控除額が多いことや特例の要件もないこと、遺言書を作成すれば足り、税務署に申請書類の提出がないことから簡易に出来ます。
  遺言書の作成については、是非肥田弘昭法律事務所にご依頼ください。