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岡山富田町のかかりつけ法律事務所
肥田弘昭法律事務所

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2025年11月13日

金銭給付に関する示談書の基本的条項について解説と示談書作成については肥田弘昭法律事務所までご相談ください。

第1 基本的示談条項について
1 権利義務を明確にする。
  乙は、甲に対し、示談金として○○○万円の支払義務があることを認める。
2 支払時期等を明確にする。
(一括払)
第1項(前項)の示談金を乙は、甲に対し、令和〇年〇月〇日限り、甲の指定する銀行口座(←銀行口座を記載)に振り込んで支払う。振込手数料は乙の負担とする。
(分割払)
第1項(前項)の示談金を乙は、甲に対し、前項の金員を、次のとおり分割して、甲指定する銀行口座(○○銀行○○支店の「○○○○」(口座番号○○○))に振り込んで支払う。振込手数料は乙の負担とする。
1. 令和〇年〇月から令和〇年〇月まで、毎月末日限り、各〇万円(〇回)
2. 令和〇年〇月末日限り〇万円←端数がでた場合等
3 期限の利益の喪失条項(特に分割払いの時は重要)・遅延損害金条項
(一括払い)
 乙が前項の支払を怠ったときは、乙は、甲に対し、既払額を控除した残額及びこれに対する令和〇年〇月〇日から支払済みまで年〇分(〇%)の割合による遅延損害金を支払う。
(分割払い)
 乙が前項の分割金の支払を2回以上怠り、その額が〇万円に達したときは、当然に期限の利益を喪失し、乙は、甲に対し、第○項の○○〇万円から既払金を控除した残金及びこれに対する期限の利益を喪失した日の翌日から支払済みまで年〇分(〇%)の割合による遅延損害金を支払う。
4 清算条項(示談して紛争を解決するために必要です。)
(全面的清算)
甲及び乙は、甲と乙との間には、本示談条項に定めるもののほか、何らの債権債務がないことを相互に確認する。←甲と乙に関係するすべての債権債務がないことになります。
(本件権利関係)
甲及び乙は、甲と乙との間には、本件に関し、本示談し条項に定めるもののほか、何らの債権債務のないことを相互に確認する。←今回の示談についてのみです。他に債権がある場合は請求することができます。
第2 示談条項について
1 権利義務を明確にしてください。金額が明確でないと、例えば訴訟になった場合、示談書の意味がなくなります。
2 期限の利益の喪失は特に分割払いの場合は必須です。仮に期限の利益喪失条項がない場合、訴訟になった場合、期限が到来した金額のみしか請求できなくなります。
3 遅延損害金は必ずしも必須ではありませんが、訴訟の場合に法定利息以上に請求できます。但し利息制限法に違反することはできません。
4 清算条項は重要です。特に義務を負う乙側にとって、仮に示談条項を履行したとしても、甲が訴訟してきた場合に、清算条項があれば、示談書で認められている限り、履行していれば、訴えは棄却されます。
 全面的清算か本件権利関係のみの清算は、甲側に重要です。他にも示談以外に債権がある場合でも全面的清算にしてしまうと、示談書で認められている権利義務以外乙が負担していないことになります。
第3 示談書作成について肥田弘昭法律事務所までご相談ください。
 今回は、基本的な金銭給付に関する基本条項について説明しました。基本的条項であっても、法的理解をしていないと前記のとおり思わぬ落とし穴があります。示談書作成の場合は肥田弘昭法律事務所までご相談ください。