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肥田弘昭法律事務所

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2025年10月12日

令和5年4月1日施行の共有物の使用・管理に関する改正法はとても重要です。遺産分割の共有状態との関係でも押さえておくべきです!!!共有不動産でのトラブル、遺産分割は肥田弘昭法律事務所にご相談ください。

1 共有物の使用について
共有物を使用する共有者に対して、原則として自己の持ち分をこえる使用の対価を明文で請求できるようになりました(民法249条2項)。
(条文)
民法249条
1項 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
2項 共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。
3項 共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしなければならない。
2 共有物の変更について
(1)  共有物の変更について軽微変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの)は管理行為と同じ扱いになりました。
(2)  共有者が所在不明の場合に裁判により共有物に変更を加えることができようになりました。所在不明土地の解消に役立つ非常に重要な条文です。
(3)  共有物の管理者を選任できる制度が新設されました。
(条文)
 民法251条
1項   各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
2項   共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。
3 共有物の管理について
  共有者が所在不明の場合や催告したにもかかわらず意思を明らかにしない共有者がいた場合は、管理行為に支障をきたします。そのため、その点を解消するのが民法252条2項で重要です。
(条文)
 民法252条
1項 共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。
共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。
2項 裁判所は、次の各号に掲げるときは、当該各号に規定する他の共有者以外の共有者の請求により、当該他の共有者以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で共有物の管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができる。
一 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
二 共有者が他の共有者に対し相当の期間を定めて共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべき旨を催告した場合において、当該他の共有者がその期間内に賛否を明らかにしないとき。
3項 前二項の規定による決定が、共有者間の決定に基づいて共有物を使用する共有者に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
4項 共有者は、前三項の規定により、共有物に、次の各号に掲げる賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(以下この項において「賃借権等」という。)であって、当該各号に定める期間を超えないものを設定することができる。
一 樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃借権等 十年
二 前号に掲げる賃借権等以外の土地の賃借権等 五年
三 建物の賃借権等 三年
四 動産の賃借権等 六箇月
5項 各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。
(条文)
 民法252条の2
1項 共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができる。
ただし、共有者の全員の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
2項 共有物の管理者が共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有物の管理者の請求により、当該共有者以外の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。
3項 共有物の管理者は、共有者が共有物の管理に関する事項を決した場合には、これに従ってその職務を行わなければならない。
4項 前項の規定に違反して行った共有物の管理者の行為は、共有者に対してその効力を生じない。
 ただし、共有者は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。