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2025年08月06日

勾留日数の法定通算(刑事訴訟法495条)とは?

(問) 私は、控訴審において量刑不当で原審判決が破棄されました。この場合、控訴申立てから控訴審の判決までの日数は全部未決勾留日数として通算されますか。
(参照条文)
刑事訴訟法第495条 上訴の提起期間中の未決勾留の日数は、上訴申立後の未決勾留の日数を除き、全部これを本刑に通算する。
2 上訴申立後の未決勾留の日数は、左の場合には、全部これを本刑に通算する。
一 検察官が上訴を申し立てたとき。
二 検察官以外の者が上訴を申し立てた場合においてその上訴審において原判決が破棄されたとき。
3 前二項の規定による通算については、未決勾留の1日を刑期の1日又は金額の4000円に折算する。
4 上訴裁判所が原判決を破棄した後の未決勾留は、上訴中の未決勾留日数に準じて、これを通算する。
(答え)
1 刑事訴訟法495条2項2号の「上訴審において原判決が破棄されたとき」とはいかなる理由であっても原判決が破棄されたら通算されます(条解刑事訴訟法第4版補訂版・1191頁参照)。
2 また、「上訴申立て後の未決勾留日数」は、控訴審にあっては裁判告知の日の前日までの日数を言います(条解刑事訴訟法第4版補訂版・1191頁参照)。したがって、控訴審の申し立てから控訴判決の前日までが刑訴法495条2項2号で通算されます。但し、刑事訴訟法495条1項により上訴の提起期間中の未決勾留日数として判決日から上訴申立時ないし確定日まで通算されます(条解刑事訴訟法第4版補訂版・1190頁参照)。
3 なお、判決で刑事訴訟法495条2項2号の場合の法定通算は言渡しされません(最判昭46・4・15)。判決が確定して本刑の執行がされる際当然に全部本刑に通算されるべきだからです(条解刑事訴訟法第4版補訂版・1191頁・1192頁参照)。
4 刑法21条は「未決勾留の日数は、その全部又は一部を本刑に算入することができる」として裁判官の裁量で「算入」する制度もあります。この場合は刑の言渡しがされます。