2025年08月01日
契約書に署名や押印するのは慎重に!!!~2段の推定~
1 契約書、贈与など証明しようとする法律上の行為がその文書によって記されている文書を処分証書と言います。
2 処分証書、例えば売買契約書に記名(自署以外で印字などで名前が表記されている場合)の横に本人の印影があった場合、裁判所はその事実をどのように認定するのでしょうか。
3 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定すると民訴法228条4項に規定されています。すなわち、私文書に本人または代理人が自分の意思で署名か押印をしたときは、その文書全体が本人または代理人の意思で作成されたと推定されます。その推定が反証によって覆らない限り、例えば売買契約が当事者の意思で作成されたとされますので、売買契約の成否について争いがあったとしても、売買契約締結の事実が認定されることになります。
4 印影の場合は、本人または代理人の印章によって顕出された事実が確定した場合は、反証がない限り、その印影は本人または代理人の意思に基づいて成立したものと推定されます(最判昭和39年5月12日)。これを一段目の推定と言います。
そして、前記のとおり、民訴法228条4項により、文書全体が本人又は代理人の意思で作成されたと推定されます。
5 したがって、2段の推定により、印影が本人(ないし代理人)により押印された場合は、判例、法律も非常に重視されます。
よって、安易に他人に実印や自身が普段使用している印鑑など貸さないように注意ください。また、文書に自身の印影を残すことは民事訴訟法上事実認定において本人の意思で文書を作成したと推定されますので慎重に対応してください。
6 契約書や重要な文書の作成を急がされる場合などは、お気を付けください。一度持ち帰って弁護士にご相談ください。