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2025年06月02日

令和7年6月1日施行の刑法の経過措置について(刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律、以下「法」と言います)。

1 罰則の適用等に関する経過措置の原則
  法441条1項により、原則として、令和7年6月1日より前(令和7年5月31日)にした犯罪行為については、改正前の旧法が適用されます。なお、次章とは、「刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置」です。
(罰則の適用等に関する経過措置)
第四百四十一条 
1項 刑法等の一部を改正する法律(令和四年法律第六十七号。以下「刑法等一部改正法」という。)及びこの法律(以下「刑法等一部改正法等」という。)の施行前にした行為の処罰については、次章に別段の定めがあるもののほか、なお従前の例による。
2 刑の執行猶予に関する経過措置について
  法447条1項により「懲役又は禁錮の全部の執行猶予の言渡し又は一部の執行猶予の言渡し及びこれらの取消し、当該取消しの場合における他の刑の執行猶予の言渡しの取消し並びに懲役又は禁錮の全部の執行猶予の言渡し又は一部の執行猶予の言渡しに係る猶予の期間中の保護観察」についても適用されます。
 (刑の執行猶予に関する経過措置)
第四百四十七条
1項 新刑法第二十五条、第二十六条から第二十六条の三まで、第二十七条の二、第二十七条の四及び第二十七条の六並びに刑法第二十五条の二、第二十七条の三及び第二十七条の五(薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律(平成二十五年法律第五十号)第五条第二項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定は、懲役又は禁錮の全部の執行猶予の言渡し又は一部の執行猶予の言渡し及びこれらの取消し、当該取消しの場合における他の刑の執行猶予の言渡しの取消し並びに懲役又は禁錮の全部の執行猶予の言渡し又は一部の執行猶予の言渡しに係る猶予の期間中の保護観察についても、適用する。
3 刑の執行猶予の猶予期間経過の効果に関する経過措置について
  令和7年6月1日(施行の日)以後に執行猶予の言渡しがある場合に適用されます。特に刑法27条2項(前項の規定にかかわらず、刑の全部の執行猶予の期間内に更に犯した罪(罰金以上の刑に当たるものに限る。)について公訴の提起がされているときは、同項の刑の言渡しは、当該期間が経過した日から第四項又は第五項の規定によりこの項後段の規定による刑の全部の執行猶予の言渡しが取り消されることがなくなるまでの間(以下この項及び次項において「効力継続期間」という。)、引き続きその効力を有するものとする。この場合においては、当該刑については、当該効力継続期間はその全部の執行猶予の言渡しがされているものとみなす。)
 なお、前項(刑法27条1項)は「刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。」です。
(刑の執行猶予の猶予期間経過の効果に関する経過措置)
第四百四十八条第1項 新刑法第二十七条第二項から第六項まで及び第二十七条の七第二項から第六項までの規定は、新刑法第二十五条又は第二十七条の二(これらの規定を前条第二項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定による刑の全部の執行猶予の言渡し又は刑の一部の執行猶予の言渡しが刑法等一部改正法の施行の日(以下「刑法等一部改正法施行日」という。)以後にされた場合について、適用する。
4 まとめ
(1) 拘禁刑は、実行行為が令和7年6月1日以後の刑事事件に適用されます。
(2) 刑の執行猶予及び執行猶予経過の効果については令和7年6月1日以降の刑の言渡し時であれば適用されます。つまり、依頼人が令和7年6月1日より前に実行行為をして、令和7年6月1日以後に判決を受ける場合は、刑については旧法の懲役、禁固刑が適用され、執行猶予及び執行猶予期間経過の効果については新法(特に刑法27条2項注意)が適用される点に注意が必要です。