2025年03月01日
身元保証に関する法律と包括根保証の禁止について
第1 身元保証に関する法律とは?
1 身元保証とは、被用者(労働者)の行為によって使用者(雇用主)に損害が賠償することを約束して契約する保証契約を言います(身元保証に関する法律第1条)。
2 その期間は、身元保証契約をした時より3年、期間を定めなかった場合は成立の日から5年、5年を超えた期間は5年(同法第2条1項)
3 身元保証は更新することができます(同法第2条2項前段)。しかし、更新期間は、5年をこえることはできません(同法第2条2項後段)。ただし、自動更新は、身元保証人に不利益となるので無効です(同第6条・札幌高判昭和52年8月24日)。
そのため、雇用主の対策としては、就業規則、労働契約書などにより、身元保証書の再提出を雇用主が求めることができる内容を入れることがポイントです。
4 使用者の身元保証人に対する通知義務(同法第3条)
「一 被用者ニ業務上不適任又ハ不誠実ナル事跡アリテ之ガ為身元保証人ノ責任ヲ惹起スル虞アルコトヲ知リタルトキ」
「二 被用者ノ任務又ハ任地ヲ変更シ之ガ為身元保証人ノ責任ヲ加重シ又ハ其ノ監督ヲ困難ナラシムルトキ」
なお、身元保証人は、上記の通知を受けた時ないし自ら上記の事実があることを知った時は、将来に向けて契約の解除をすることができる(同法第4条)。
5 裁判所は身元保証人の損害賠償の責任及び金額を定める(同法第5条)場合は次の事情を勘案して決めます。
①被用者の監督に関する使用者の過失の有無
②身元保証人が身元保証をするに至った事由
③身元保証をするにあたり中の程度
④被用者の任務又は身上の変化その他の一切の事情
6 身元保証に関する法律の条文に反する特約で身元保証人に不利益なるものは全て無効となる(同第6条)。
第2 個人の包括根保証の禁止との関係
1 民法改正により、個人の包括根保証が禁止されました。根保証とは、一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証です。そして、包括根保証とは、保証金額や保証期限の定めがない根保証を言います。包括根保証は、保証人に過大な負担を生じさせますので、民法改正(2020年4月1日施行)により禁止されました(民法465条の2第1項)。
2 個人根保証契約は、極度額を定めなければ無効になります(民法465条の2第2項)なります。極度額は、保証人が責任を負う金額の上限です。
3 また、書面ないし電磁的記録によって作成されなければ無効となります(同法第3項が民法446条第2項、3項が極度額に準用)。
4 上記のとおり、身元保証契約は、使用者に対する被用者の労働に属する不特定の債務を主たる債務とする保証ですので、包括根保証に該当します。そのため、極度額を定めないと無効となります。