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肥田弘昭法律事務所

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2025年01月08日

離婚協議において年金分割をしなかった場合に当事者間で債権債務関係がないとの精算条項で合意した。この場合、期間内に年金分割の請求はできないか。また、年金分割の割合を合意した場合はどうか。

1 年金分割請求権は、厚生労働大臣などに対する公法上の請求権であり、一方当事者が他方当事者に対して有する請求権ではないことから、当事者間で債権債務関係がないことを確認しても、年金分割請求権は可能です。年金分割請求権は、離婚した翌日から期間制限(令和7年1月8日時点では2年。財産分与の期間が5年に延長された民法改正に伴い5年に延長する改正案を厚生労働省が示している)がありますので、例え精算条項を当事者間でしても年金分割請求権があることを知っておく必要があります。離婚時に精算条項があったことから年金分割請求権ができないと勘違いして期間が経過してしまうと本当に年金分割請求ができなくなるのでご注意ください。
2 年金分割は合意分割制度(婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)があること、当事者の合意または裁判手続により按分割合を定めたこと)がありますので、離婚時に年金分割の割合を定める合意は有効です。前述と違いがありますので注意が必要です。