岡山弁護士会所属
岡山富田町のかかりつけ法律事務所
肥田弘昭法律事務所

お知らせ

一覧に戻る

2024年11月19日

親族法押えておきたい点まとめました。

0 親族(民法725条)(後見等申立の同意書の連絡先や被後見人が亡くなられた時の法定相続人の範囲の確定・連絡の基礎になります)
   1 6親等内の血族
   2 配偶者
   3 3親等内の姻族
  →親族間の世代数を数えて親等を定める(民法726条1項)。
 1 婚姻
  (1) 婚姻の届出(民法739条)
    要件 ①婚姻意思の存在②婚姻障害 事由の不存在
   ア ①婚姻意思=社会生活上夫婦と認められる関係を作ろうとする意思
   イ ②婚姻障害事由
  婚姻適齢(民法731条)・重婚の禁止(民法732条)・ 近親婚の禁止(民法734条等)・未成年者の父母の同意(民法737条)
なお、再婚禁止期間(民法733条)については令和6年4月1日より廃止されました。
      成年被後見人の婚姻には、成年後見人の同意不要(民法738条)
   (2) 婚姻の効果
 ア 配偶者としての地位
       夫婦同氏・姻族関係・貞操義務・同居協力扶助義務・成年擬制・契約取消権・配偶者相続権・子の嫡出性
 ・同居協力扶助義務(民法752条)
 (類似)最高裁判例平成28年3月1日判決
「家族が、法定の監督義務者に準ずべき者に当たるか否かは、①家族自身の生活状況や心身の状況、②精神障害者との親族関係の有無・濃淡、③同居の有無その他の日常的な接触の程度、④精神障害者の財産管理への関与の状況などその者と精神障害者との関わりの実情、⑤精神障害者の心身の状況や日常生活における問題行動の有無・内容、⑥これらに対応して行われている監護や介護の実態など諸般の事情、を総合考慮して判断すべきである。これを本件についてみると、妻は、夫の介護に当たっていたものの、本件事故当時85歳で左右下肢に麻ひ拘縮があり要介護1の認定を受けており、夫の介護も長男の妻の補助を受けて行っていたというのである。そうすると、妻は、夫の第三者に対する加害行為を防止するために夫を監督することが現実的に可能な状況にあったということはできず、その監督義務を引き受けていたとみるべき特段の事情があったとはいえない。」として、妻が夫の介護をしていたからといって必ずしも民法714条1項の法定の監督義務者に該当しないとしました。
イ 夫婦財産制
夫婦別財産制・婚姻費用分担義務・日常家事債務の連帯責任(民法761条)→「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う」
 2 離婚
  (1) 離婚の方法
   協議離婚→調停離婚→審判離婚→和解 
  離婚→裁判離婚
  (2) 離婚での取り決め事項
   ア 財産分与 イ 慰謝料 ウ 子の 
  親権者決定 エ 面会交流
   オ 養育費  エ 年金分割
 3 親子
  (1) 嫡出の推定(民法772条)関連の大幅改 
  正について
嫡出推定制度の見直しのポイント
 ○ 婚姻の解消等の日から300日以内に子が生まれた場合であっても、 母が前夫以外の男性と再婚した後に生まれた子は、再婚後の夫の子と推定することとしました。
 ○ 女性の再婚禁止期間を廃止しました。
 ○ これまでは夫のみに認められていた嫡出否認権を、子及び母にも認めました。
 ○ 嫡出否認の訴えの出訴期間を1年から3年に伸長しました。
  (2) 認知(民法779条)
    →認知能力は成年後見人にも認められる(民法780条)
    →認知は遺言でもできる(民法781条2項)
  (3) 認知の効力(民法784条)=出生の時に遡ること
 4 養子
  (1) 成年者は養子をすることができる(民法792条)。
  (2) 後見人が被後見人を養子にする場合は家庭裁判所の許可を要する(民法794条)。
  (3) 特別養子縁組(民法817条の2)
 5 親権
  (1) 父母共同親権の原則(民法818条)
  (2) 離婚又は認知の場合の親権者(民法819条)
  (3) 監護及び教育の権利義務(民法820条)
  (4) 居所の指定(民法821条)
  (5) 財産の管理及び代表(民法824条)
  (6) 利益相反行為(民法826条) 等
※共同親権の法改正(但し、現時点で施行前)
1 施行日
令和6年5月17日成立公布され施行は公布から2年以内です。
2 共同親権(改正民法819条)の概要は次の通りです。
①  協議離婚の際は、父母の協議により父母双方又は一方を親権者と指定することができる。
②  協議が調わない場合、裁判所は、子の利益の観点から、父母双方又は一方を親権者と指定する。
③  父母双方を親権者とすることで子の利益を害する場合には単独親権としなければならない。
④ 親権者変更に当たって協議の経過を考慮する。
3 親権行使(改正民法766条、824条の3等)
① 婚姻中も含む。
② 原則は親権の共同行使
③ 例外は、(ア)子の利益のため急迫の事情があるとき(イ)監護及び教育に関する日常の行為
④ 父母の意見が対立した場合、裁判所で判断する手続の新設
4 離婚する場合の子の監護について(改正民法766条、824条の3等)
① 子の監護をすべき者、子の監護の分掌、父又は母と子との交流、子の監護に要する費用の分担、その他を定める。
② 審判による父母以外の親族と子の交流を定めることができる(改正民法766条の2)
審判の請求者についても、父母以外にこの直系尊属及び兄弟姉妹以外の者にあっては、過去に当該子を監護していた者に限るものの父母以外の子の親族も請求ができる。
5 子の監護に要する費用の分担の定めがない場合の特例(改正民法766条の3)として法定養育費制度を導入した。それに伴い養育費の履行確保に向けた制度を導入した。
① 養育費債権に先取特権を付与(改正民法306条、308条の2)により債務名義(養育費の調停合意や審判がない場合等)なくとも差押可能となる。
② 執行手続の負担軽減策や収入情報開示命令などの裁判手続の規律を整備(民事執行法167条の17、人事訴訟法34条の3、家事手続法152条の2等)
6 扶養
 1 扶養義務者(民法877条)
  ①直系血族②兄弟姉妹③(特別の事情)3親等内の親族間
 2 扶養請求権の処分の禁止(民法881条)
  →養育料の放棄はできない(札幌高裁決昭43・12・19)。