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岡山富田町のかかりつけ法律事務所
肥田弘昭法律事務所

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2018年10月25日

消費者被害にあわないための注意点

消費生活相談員の経験を踏まえてまとめています。
第1 消費者被害の事例~浅口市消費生活相談員としての経験を踏まえて
 1 振り込め詐欺系の被害ないし情報提供が多い。
  ① 市の職員を名乗り、公共料金が返ってくるなど
  ② 投資話を持ち掛けて来た。
  ③ 子供が交通事故を起こしたとして連絡が来た。
                         等
2 架空請求被害が次に多い。
   携帯のメールにアダルトサイトを閲覧したから費用が発生している、連絡しないと法的措置を検討するなどのメールがあった等
3 インターネットトラブル(さくらサイト詐欺)・訪問販売などもある。
① 訪問販売の相談事例・・・家まで来て、高額な布団を無理に売られた(一組60万円・寝ているだけで、腰痛が治るなどの説明)
② さくらサイト詐欺(女性)・・・男性を紹介するとして、紹介するための情報を得るために、アマゾンのポイントを購入させ、利用させた。情報を小出しにされ、気づいたら、60万円以上使っていた。
等、浅口市の消費者相談員(平成27年4月からは、相談員の相談担当)
をしていて、実際に相談を受けた事例です。この頃、振り込め詐欺系の
情報提供が増えています。手口としては、市の職員を名乗ることが多い
です。まだ、浅口市では、まだ情報提供はありませんが、マイナンバー
制度移行に伴い、マイナンバー自体の情報やマイナンバーが例えば情報
漏えいしてしまったなどと言って、お金をだまし取ろうとする事件が予
想されますので、注意が必要です。
第2 消費者被害撃退方法
 1 総論・・・特に詐欺系に多い共通点
  ①判断を急がせる。時間をかけさせない。
  ②人の欲望や恐怖心などを刺激してくる。
  ③孤立させようとする。
 2 振り込め詐欺系
 (1) ポイント
  ①息子や孫、警察官、弁護士、市の職員などのふりで電話をかけ、息子など親族の危機や個人情報の流出防止などを理由に金銭を要求
  ②風邪で声がおかしい等言い訳をする。
  ③金銭をレターパック等で送るように指示する。
  ④誰にも相談しないで等と言う。
 (2) 撃退
  ①金銭を要求された場合、まず詐欺を疑うこと
  ②落ち着いて家族、警察などに相談すること
  ③在宅中も留守番電話などに設定し、電話にでないことも一つの方法。
 3 架空請求
 (1) ポイント
  ①「総合情報サイト利用料金」など、あいまいでよくわからない名目で請求
  ②具体的な料金が明記されていない場合が多い。
  ③法的措置をとる・裁判や訴訟をする等脅した上、期限をきめて連絡するように要求してくる。
 (2) 撃退
  ①無視すること(連絡すると次から次に請求がくる)。
  ②不安な場合は、消費生活センターなどに相談。脅迫などされた場合は警察に連絡すること。
4 インターネットトラブル(さくらサイト詐欺)
 (1) ポイント
   メール交換のためのポイント購入などの名目で支払を求める。
 (2) 撃退
  ① 送信者不明のメールは開かない、返事をしない。
  ② ポイントを購入しないと情報が得られない仕組みの場合は疑うこと
 ←アマゾンなどのポイントを購入させてから、そのポイントで支払うよ
うに要求する場合が増えている。理由としては、直接口座を指定して振
込にすると、口座凍結されるおそれがあるから。
5 訪問販売
 (1) ポイント
   いきなり自宅にきて、高額な物品を販売する。家に上がり込む。最初は、話を聞くだけ等(親切な対応)。
 (2) 撃退
  ① クーリングオフができる。
  ② 拒否し、家から退去しない場合は、警察に連絡。
  ③ 家族に連絡する。
第3 消費者を守る法制度
 1 消費者契約法
 (1) 次のような行為によって、誤認・困惑して契約した場合、消費者は取り消すことができる。
  ①重要事項について事実と異なることを告げられた。
  ②不確実な事項につき断定的判断を提供された。
  ③重要事項等について利益となることを告げ、かつ不利益となる事実を故意に告げなかった。
  ④住居・業務場所から退去しろと言ったのに退去しなかった
  ⑤勧誘された場所から帰ると言ったのに帰らさなかった
  *取消権は、追認できる時から6か月間に行わないと時効によって消滅します。
 (2) 消費者契約では次のような条項は無効となる場合があります。
  ①事業者の損害賠償責任を免除する条項
  ②消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項
  ③消費者の利益を一方的に害する条項
2 特定商取引法・割賦販売法
(1) クーリング・オフ
 ア クーリング・オフとは、訪問販売・電話勧誘販売などで、商品など(全ての商品・役務、指定権利)を購入した場合、無条件で契約の解除ができる制度
 イ 契約を解除するためには、契約書面等を受領した日を含めて8日以内に書面を発して通知すること。但し、連鎖販売取引の契約の場合、業務提供誘引販売取引の場合は20日以内。
 ウ 無条件で契約の解除とは、①違約金を支払う必要はない②一部支払った金銭の返金、③商品の引き取りは業者負担
 エ 契約書面等には、法定された事項を記載する必要があります。もし、その事項が欠けていれば、期間経過せず、クーリング・オフが可能な場合もあるので、期間が経過していてもあきらめないこと。
(2) 過量販売解除
  通常必要とされる以上の商品を購入してしまった場合には、通常必要とされる分量を超えた部分について、契約を解除できる場合があります。
(3) 再勧誘の禁止
  一度断った業者が、再度同じ商品の売買等を勧誘することは禁止されています。
第4 クレジットの危険性
 1 クレジットの危険性→あくまで借金であるが、便利で、かつ、現金支払いでないので使いすぎてしまう傾向にある。←個人破産される方に多いのは、クレジットカードによる生活費などの使い過ぎから。
 2 金利→借金であるので、金利が発生する。1万円借りたら1万円返済すれば良い訳ではない。⇒金利が払えずに他のクレジット会社に新たな借金をして、雪だるま式に借金が増える方が多い。
 3 また、上記で紹介した詐欺などの消費者被害に利用される場合が多い。例えば、サクラサイト詐欺などは、クレジット決済をさせることで、被害者にお金を支払わせるなど。
 4 クレジットを利用する場合は、十分に気を付けること。破産などの場合は、今後の人生に様々な不利益となる。